「わたしを離さないで」

ブッカー賞作家カズオ・イシグロの名作を蜷川幸雄が舞台化!

これは見逃せないと思い、ひさびさに彩の国芸術劇場まで行って来ました。

詳しく書くと必然的に物語の核心に触れてしまう(ネタバレしてしまう)ので控えめにしますが、

この作品の最大の魅力は、牧歌的な風景と悲惨な事情が二重写しになっているところ。

舞台では、その牧歌的な美しい風景が、

学生服でサッカーに興じる男の子や、教室でおしゃべりに夢中になる女の子の姿に凝縮されていました。

このスローモーションの場面が一番、「舞台らしさ」を醸していたように思います。

長編小説の舞台化ということで、原作ファンとしては端折られてしまった箇所が気になりましたが、

あの不思議な世界観はほぼそのままに再現され、見ごたえたっぷりに仕上がっています。

役者さんもみなさんハマり役で、とてもステキでした!


「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」

ごく普通の生活を送っていた人が、youtubeやvine上で一躍有名人になったりするこの頃。

「将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう。」というウォーホルの言葉は、

誇張でも比喩でもない、現実になりました。

今回公開されたタイムカプセル(=自らがセレクトした”遺品”)の中には、

メディア論で有名なマクルーハンの著書もありましたが、

「メディア」をめぐるウォーホルの鋭い洞察は勤勉さから得たものというよりもむしろ、

生来のセンスと運動神経から自然に手に入れたものなのでしょう。

そういう軽やかさこそがポップアートの魅力であり、それを誰よりも理解していたのは多分、ウォーホル自身。

楽しいこと、やりたいことをやって、それがことごとく周囲を惹きつけるなんて、まさに時代の申し子。天才です。

彼はたくさんの言葉(コピー)を遺していて、今回もたくさん紹介されていましたが、その中でも特に印象的だったのは

「アンディ・ウォーホルについてすべてを知りたいなら、 ぼくの絵と映画、そしてぼくの表面を見るだけでいい。そこにぼくがいる」という一節。

思想や哲学の用語で意味づけされがちな現代美術ですが、

ただただ直感で楽しむという仕方も忘れたくないなぁと改めて感じた作品展でした。