BOOK:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(山口周)

山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』読了。

タイトルの問いの端的な答えは、「経営における「真・善・美」のモノサシを、客観から主観に転換するため」。論理的思考の普及、自己実現欲求市場の誕生、社会システムの加速度的な変化によって、普遍的な基準とされてきた「論理・法律・市場調査」はむしろ経営のパフォーマンスを下げる存在となった。それに気付いているエリートたちは自らの「直感・道徳・審美感性」を磨き、新たなモノサシを手に入れようとしていますよ、というお話でした。

一番興味深く感じたのは、「意思決定の理由を合理的な説明に頼るのは、「リーダーシップの放棄」でしかない」という指摘。「言語化」や「再現性」を否定するくだりは、小気味よいくらいでした。でも本書はもともと、「サイエンス≒論理」に偏りがちなビジネスマンたちに向けたもの。「アート≒直感」だけあればよいのではなく、会社でも個人でもアート・サイエンス(・クラフト)をバランスよく備えるべき、ということだと思います。

ちなみに我が社のメンバーは、論理的な大人たちがなかなか解けないというエクササイズ(クイズ)を0.1秒くらいで解いちゃいました。アートはひとまず放っておいて、むしろサイエンスを鍛えないといけませんね。。。

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0531


PLAY:『ハングマン』(マーティン・マクドナー作)

舞台『ハングマン』(作/マーティン・マクドナー、翻訳/小川絵梨子、演出/長塚圭史)、観てきました。パンフレットのコラムに「良心を捨てて」観るようにとの言葉があったので、どんなに非道なお話なのかとドキドキしていたのですが、、、良い意味で普通におもしろかったです!倫理観たっぷりの人が観たら、ちがうのかもしれませんが。

主人公は絞首刑執行人=ハングマン。死刑がひっそりと行われる日本と比べると、カリスマハングマンが存在する設定自体が新鮮でした。死刑制度とか冤罪とか、地域格差と差別とか、システムの変化による失職とか精神病院への閉じ込めとか、実は盛りだくさんですが、、、社会的な問題はさておいて愚かな人間ドラマを楽しむのがよさそうです。

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0530


PLAY:『ヘッダ・ガブラー』『酒と涙とジキルとハイド』『図書館的人生 vol.4 襲ってくるもの』

最近観たお芝居。

『ヘッダ・ガブラー』はイプセンの戯曲。寺島しのぶの強烈な「新しい女」ははまり役でした。

『酒と涙とジキルとハイド』は三谷幸喜作・演出の再演。「ただただお客さんに笑ってもらう」という狙いどおり、ひたすら笑って劇場をあとにしました。あと、優香が可愛すぎでした☆☆

『図書館的人生 vol.4 襲ってくるもの』は、大好きなイキウメ。自分の意志とは無関係に立ち上がってくる「感情、衝動、思い出」にまつわる短篇集。いつものとおり全部面白かったのですが、「衝動」を世界からの呼びかけだと捉えて使命感を抱く男の話は特に印象深く。なんだかとても、わかる気がして。。。

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0521


FILM:『OVER DRIVE』(羽住英一郎監督)

試写会にて『OVER DRIVE』。ラリーという競技に縁のなかった私でも、かなり楽しめました!舞台になっている「SCRS」(SEIKOカップラリーシリーズ)は架空の設定らしいのですが、作り込み方がすごくて本物のレース実況みたいです。

物語の中心にいるのは、天才ドライバーの弟と、チーフメカニックとしてレースを支える兄。兄弟愛、勝負と勝利、幼なじみ、一途な片思いなど、少年マンガ風の世界観で、理屈抜きに入り込める作品です。それにしても、、、弟役の新田真剣佑さん、熱量ある不機嫌さがとっても似合ってました〜!爽やかな笑顔より、イライラ怒ってる顔の方がステキです☆(あくまで個人的な好みですが・・・)

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0520


FILM:『犬ヶ島』(ウェス・アンダーソン監督)

試写会にて、ウェス・アンダーソン監督の『犬ヶ島』。いろんなものがギュウギュウ詰まった、盛りだくさんな映画でした。

細部までこだわり抜いたストップモーションアニメの素晴らしさにはもちろん、ピュアな想いでつながれたアタリ少年と犬たちの冒険物語にも感動!情報量がとにかくすごいので、個人的には吹き替え版をオススメします☆

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0519


MANGA:『初めて恋をした日に読む話』(持田あき)

前回からの受験話つながりで、ハツメイの本棚別館からお気に入りの漫画をご紹介。持田あき『初めて恋をした日に読む話』です☆

ヒロインは、春見順子31歳。猛勉強の青春期を過ごしたものの、東大受験に失敗して女子大へ進学。その後は塾講師の職に就き、仕事にも恋愛にも趣味にも情熱を持てず迷走気味の毎日を送っています。そんな中、偶然出逢ったのが、ピンク頭の高校生・由利匡平くん。父親への反抗心から東大合格を目指す彼を、順子は塾講師として全力で指導します。

ユリくんも、いとこの雅志も、元ヤン現教師の山下くんも、順子のまわりにいるのは魅力的な高スペ男子ばかり。鈍感で非モテ自認の順子が実は愛されキャラ、、、という設定には少女漫画的な夢があります。が、この作品がドキドキ以上のワクワクをもたらすポイントは、やはり順子のアツさとまっすぐさ!「東大出じゃない奴に東大受験は指導できない」という冷ややかな周囲の声をはねのけて、自分の劣等感と向き合い、努力を惜しまず、決して折れずにユリくんの東大受験を支えようとする順子の姿は本当にすばらしい☆勇気と活力をもらえる、オーバー30におすすめの漫画です!

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0508


BOOK:『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』(吉川徹)

吉川徹『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』。大卒者/非大卒者の「分断」を社会調査の分析から炙り出し、「明日の日本の姿」を描き出そうとする内容です。なるほど確かにと納得したり、うーんそうかしらと考えてしまったり、ねぇねぇこれってどう思う?と隣に調査結果のグラフを見せてみたり、、、なんだかアクティブな読書になりました。

一番ドキッとしたのは、「日本の学歴社会は、社会に出てからの再チャレンジを許さない」という指摘。これは、社会人になってから大学院で学んだわたし自身が身にしみて感じていたことでもありました。日本社会では、「もともと」どんな人なのか?という観点で人物評価されることが多い。生まれる前の決定事項≒家柄(家庭環境)と、社会人になる前の決定事項≒通常年齢の学歴は、結局更新できないことがほとんどなのだと思います。

今回、「日本の学歴は、変えようのないアイデンティティ」という表現を目にして、違和感を覚えていた世間の感覚をストンと理解できた気がしました。リカレント教育はあくまで別腹、というのが日本流なんですね、きっと。

それにしても、80年くらい続く人生の中で、18歳時点の選択(しかも4年ぽっちの在籍!)がそこまで意味を持つなんて。大卒者/非大卒者の「分断」って、考えれば考えるほど不思議な感じです。早め早めにと躍起になるお受験ママたちの気持ちが、わかるような、わかりたくないような・・・。

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0506


FILM:『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(リューベン・オストルンド監督)

知的で、理性的で、寛容な人物でありたい、少なくともそう評価されたい、と願う人は多いと思います。お金と時間を費やしてアートに触れようとする人たちなら、なおさらでしょう。「ザ・スクエア」は、現代アートの世界を舞台に、不可解に対する知的・理性的・寛容なふるまいとは何か・・・という問いを突き付けてくる作品です。

現代美術館のチーフ・キュレーター、クリスティアンはさまざまな不可解にさらされ、問われ続けます。普段、現代アートという不可解を商売にしている人が、いざ自分の身に突きつけられると、いとも簡単にバランスを崩してしまう。その描かれ方が、結構リアルでこわいくらいでした。

わからなさに価値を見出して、崇め奉る。わからなさを恐れて遠ざけて、批判する。または黙殺する。わからなさを文脈で補おうと、とりあえず周囲に合わせて対応する。全部、現代アートの鑑賞者が見せるふるまいのパターンであると同時に、普段の生活の中で無意識のうちにとっている、他者への態度でもあります。不可解を理解に変えることより、不可解を不可解のまま受け容れる方がよほど難しいなぁと、しみじみ。そこに「表現の自由」の問題まで加わって迂闊に謝罪もできないとなると、アート界、本当にたいへんですね。。。帰り道に『芸術の陰謀』が無性に気になり再読したので、一緒に写してみました。

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0502


FILM:『君の名前で僕を呼んで』(ルカ・グァダニーノ監督)

「君の名前で僕を呼んで」。まずタイトルに、たまらなく惹かれました。恋人どうしの甘い戯れはいろいろありますが、自分の名前で相手を呼ぶ、相手の名前で自分が呼ばれる、こんなにステキな求め合いってないなと。

天才肌の17歳の少年エリオと、24歳のスパダリ系(!)大学院生オリヴァー。ふたりはエリオ一家が夏を過ごす北イタリアのヴィラで出会い、秘めた想いを静かに確かめ合いながら関係を深めていきます。夏の陽、夜の風、光る水、揺れる木々。ふたりのこころと響き合うように、時に爽やかに時に官能的に映し出される豊かな自然が、とても印象的でした。また、結局2番手に回ってしまう女の子たち、エリオの両親、まわりの人々がみな素晴らしい!知的で優しい言葉とまなざしが、胸に沁み入ります。

映画の後、すぐに原作も読了。こちらもすごくよかったのですが、、、切ないを通り過ぎて、複雑な気持ち。監督がすでに構想中という続編では、ふたりの甘い戯れと「痛み」がどう描かれるのか、今から楽しみです。

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0430


FILM:『BPM ビート・パー・ミニット』(ロバン・カンピヨ監督)

性自認や性的指向についての考え方は、日本でもここ10年くらいの間に大きく変わってきました。匿名/記名の声が無数に行き交い、行政や企業の動きがその都度届けられる環境。LGBTQについての理解の深まりに、今日のメディアが果たしている役割はとても大きいと思います。

「BPM」は、90年代初頭のパリが舞台。HIV感染者への不当な差別や環境を改善するために闘った活動団体「ACT UP」の実話から生まれた映画です。SNSはもちろんインターネットもない時代に、さまざまな問題や意識を抱えた人々が実際に顔を合わせて意見をぶつけ合う。偏見の溢れる社会で身分証と薬を必携して大胆に行動を続け、警察の拘束も恐れない。彼らは、自分たち、仲間たちの生のために、自らの肉体を惜しみなく投げ出します。企業の欺瞞や世間の「無知」をあぶり出そうとする力強い生き方に、憧れにも近い気持ちを抱きました。

映像も美しく、ビート・パー・ミニットな音楽にも独特の心地よさがあります。ラブストーリーとしてもステキなシーンがたくさん。143分、あっという間でした。

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0423